警備員虎の巻

~Guardman's bible~

ジュリアナ東京

同じ警備班の元木さんが朝一番の後進誘導のため、手旗を持って工事車両の後方に立った。元木さんはベテラン警備員で、後進の指導も熱心にやってくれるとてもありがたい方だ。ドライバーさんがバックにギアを入れると、同時に「ピーッ、ピーッ」というバックブザー音が鳴り響いた。

「はい、オーライ!」元木さんの後進誘導が始まったその時だ。

わが警備班のエースであり、お調子者の滝田くんがちょっかいを出しはじめた。

「ジュリアナー!トウキョー!」

滝田くんは周りの警備員に聞こえるようにかん高い声を上げた。周りの警備員はみんな笑っていた。そう、元木さんの後進誘導時の旗の振り方が「ジュリアナ東京」のお立ち台にいるボディコンギャルのセンスの振り方にそっくりなのだ。

↓↓ジュリアナ東京といえば「荒木師匠」の「センス振り」をご確認ください↓↓

 よく言われていることだが、手旗のうまい振り方は旗をからませないようにするため「8の字」で振ることだ。だが、本当に8の字で振ってしまうと動画の「荒木師匠」になってしまう。

荒木師匠の動画でノーマルな「8の字」振りを確認するとわかるが、実は体の前で手首を使って小手先で振ると「荒木師匠」になる。

警備員はそうではなくて、手をまっすぐに伸ばして大きく振るのが基本だ。手首を返すのは旗の振り出しと戻しの時でいい。そうすると旗がからまずに振ることができる。

絵で説明すると、

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これは進行の合図だが、手首を返すのはまさに画像の状態のとき。この二つのタイミングでスナップを返せば手旗がからまない。いい振り方だと言われている「8の字」にこだわる必要はなくて、要は手旗がからまなければそれでいいはずだ。

8の字にこだわると、たいていの警備員は「荒木師匠」になっちまうんだよ。

* * * *

「じゃ、オレもいってきまーす」

滝田くんが手旗を持って工事車両の後進誘導に出て行った。元木さんをさんざんひやかしていた滝田くんだが、実は滝田くんの旗の振り方も元木さんゆずりの「荒木師匠振り」だ。もともと滝田くんの師匠は元木さんで、技術面は元木さんに教わったところが多い。

「オーライ!オーライ!」

滝田くんはノリノリで、今日も独特のよく通る声で誘導していた。でも、ちょっと悪乗りしすぎて少しクネクネと腰を使っていた。

滝田くん、そこまで荒木師匠に似せなくていいって。君の師匠は元木さんだろ?

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