警備員虎の巻

~Guardman's bible~

微差

 

同僚に千里さんという警備員がいる。私よりもかなり年上のおっちゃん警備員だが、頭がよくて判断がよく、アイデアもよく出る。経験から積み重ねた誘導技術も持っていて、私も現場で何度も助けてもらったことがある、仲間内から見てもとても優秀な警備員だ。

 

けれども、この千里さんの顧客や会社の評価というのは決して高くない。これはなぜなんだろうか?

 

おそらく、警備員にとって大事なのは、誘導技術や正確な判断だけじゃないってことだ。

 

* * * *

 

千里さんは優秀な警備員だが、見てくれはあまりよくない。

 

薄めの白髪頭で背も低く、少し猫背気味にガニ股で歩く。私がいるここは東京だが、千里さんは早口の関西弁でしゃべくる。誘導灯や旗の振りも間違ってはいないがバタくさい。「手をまっすぐ上に上げる」とか「手を真横に伸ばす」というようなきれいさはない。

 

ひとつひとつを取ってみれば、警備員にとってさして重要なことではないかもしれない。

 

だが、考えてみて欲しい。

 

背の高いイケメンで立ち姿が美しく、スッスッときれいに歩く。ゆっくりわかりやすく話し、きれいに手旗や誘導灯を振って誘導する警備員と千里さんではどちらが優秀に見えるかは明らかだ。

 

千里さんは警備員としての基本性能は高いが、こういう付帯的な部分ですごく損をしている。

 

警備員は常に見られている。顧客から、道行く人から見られている。動作や言動のひとつひとつが評価対象だと思っていいだろう。実はこういう普段の言動の本当に「微妙な差」が実は警備員の評価を決定付けている。

 

* * * *

 

警備会社には現場で働く警備員を巡察し指導する指導員がいる。

 

時々現場に来ては

 

「装備はきちんとしているか?」

「清潔感のある服装にしているか?」

「正しい動きで誘導しているか?」

 

というようなところを確認し指導していく。指導員というのはうるさ型が多くて、ほとんどの現場の警備員はうっとおしく思っていたりする。うっとおしがられるような細かいところを指導していくのが指導員の仕事でもあるからだ。

 

けれども、先にあげたような「微差」を積み重ねることがよりよい警備員への道でもある。

 

指導されたことを「大したことじゃない」と思っても、そういうことを修正していくと微差が大差になっていき、顧客や会社の評価につながっていく。

 

指導されたこと・自分できづいたことを、たとえ小さなことでもたくさん修正していくことが大事なんだよね。

 

まあ、さすがに見てくれが悪いから整形するってのはやりすぎだとは思うけれど。

 

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